ゴールデンウィークにぎっくり腰をやってしまったため読書ぐらいしかすることがなかった七味おやじです。
今回の記事は、社会派ブロガーちきりんさんとプロゲーマー梅原大吾さんの対談を書籍化した「悩みどころと逃げどころ」に対する感想です。
対極的な二人の対談は興味深くて思慮深いものでした。子育て世代の私にも読む価値ある一冊でした。
いくつも面白い視点はあるのですが、今回は「学校的価値観」という視点にフォーカスします。
少し刺激の強いフレーズですが、言いたいことはよくわかります。
ちきりん 学校って卒業した瞬間に、できるだけ大きな安定した船に乗りましょうって教えるんです。「船は大きければ大きいほどよくて、大きな船に乗りさえすれば一生安泰です」って。学校を卒業する瞬間に人生が決まっちゃうみたいな感覚を持たせるから、多くの学生が卒業時にできるだけ大きい船に乗ろうとする。
悩みどころと逃げどころ ちきりん、梅原大吾 2016年6月26日 第二刷 小学館新書
なかなか考えさせられる視点です。学校的価値観は長い時間をかけて暗黙のうちに植え付けられてきた価値観であり、自分にも思い当たる節があります。本音を言えば、何も考えずに大きな船で一生安泰だったら楽でいいのに・・・と心のどこかで願っている節もあります。しかし、現実は理想とは異なります。3回の転職を経て大きな船に乗っている今もなお一生安泰を手に入れたとは到底思えません。日本にはしばらく右肩上がりの経済成長期は来ないだろうな・・・とも思っています。子供たちが成人になるまでは、何とかしぶとく稼がなければと思っています。
また、自分の人生だけでなく親として子供の将来も考えるようになりました。しかし、何をもって「いい人生」と言えるのか私自身も未だにわかりません。内申点を上げて進学校に行って、有名大学を出て、有名企業に入社すれば一緒安泰?。確信はなく疑問符が付きます。
ただし、学校的価値観を全否定する気にもなれません。学校的価値観に則って生きていくことで選択肢の幅が広がるであろうことは推測できます。学校的価値観が就職活動に有利に働く一面はあるでしょう。それは有名企業の内定獲得に限らず、自分の希望職種に就くという観点においても同様です。学校的価値観で育ってきた大人が多いのだから自然ななりゆきかもしれません。子供に勉強はしておいた方がいいと言う背景はこの辺りにもあると思います。学校で学んだ勉強が社会に出てどれほど役立つか?その問いに疑問を持ちつつも、将来の選択肢は多い方がいいと親として素直に思います。
一方で、学生時代にしかできないこともあるでしょう。例えば、野球で甲子園に行きたい!と思って挑戦できるのは高校球児だけです。監督・コーチ・スタッフ・保護者・OB・後援会などの間接的な関わり方はあるかもしれませんが、主役として挑戦できるのは高校球児だけです。年頃の男子が坊主頭にしてまでも挑戦したいと思う価値や夢が甲子園にはあると思います(個人的には坊主頭に反対ですが)。その時にしかできない挑戦は、長い人生の中でも貴重な機会だと思います。競技は何であれ、このような青春の貴重性も大事にしてあげたいと親として思います。
このように「いい人生」ってどんなものだろうか?とあれこれ考えてみるのも、時にはよいかもしれません。「いい人生」の定義なんて人それぞれです。自分で追い求めて、ときには遠回りして、ときどき確認してみるしかないかもしれませんね。「人生に正解なんてない!」ということでしょう。ぎっくり腰に苦しみながらそんなことを考えるゴールデンウィークを過ごした七味おやじでした。