若手の成長を感じたときにうれしいと思うようになったアラフィフの七味おやじです。
アラフィフになるとおそらくは20年以上のキャリアがあり、それなりに酸いも甘いも経験してきた方が多いと思います。この20年あまりで労働環境もずいぶん変わってきたのではないでしょうか。
私自身にも人に誇れる仕事もありますし、どうしようもない失敗もたくさん経験してきました。
でも、そろそろ自分の手柄に対する執着も薄れてきており、むしろ若い人たちの成長を感じる瞬間の方がうれしく思えるようになってきました。そう、ようやく丸くなってきたのです。
さて、そろそろ本題です。どうやって若い人を育てるか?が今回のトピックです。
アラフィフは労働環境の変化を受け入れるべき
アラフィフ世代が入社してから20年以上経過しているわけですから労働環境も変わっていますし、人間関係の在り方も変わっています。
当時の当たり前は、今の〇〇ハラスメントに該当することも多い気がします。そのような労働環境で育成されてきた人間が、別のやり方で人を育てないといけないわけですから神経を使いますね。
〇〇ハラスメントになるぐらいならば、若い人と距離を取った方がいいと考えても仕方ないですね。でも、それはそれでつまらないからややこしいです。
ここは素直に労働環境の変化を受け入れて、今の労働環境に適した若手との距離感を見つけると良さそうです。
育てなきゃ!という使命感を過度にもつことなく、困ったら聞いてね!ぐらいの距離感で。むしろ、若い人が話しやすい環境を作ってあげることがアラフィフの役目です。
若手に迎合する必要はありません。あなたが話しやすい存在であれば、勝手に相談してきます。それぐらいのスタンスが丁度いいです。
頑張ってすべての相談に応える必要もありません。「知らんもんは知らん」でいいと思います。そうなると、勝手に別の人に相談しますよね。むしろ、頑張って知ったかぶりしたり、取り繕うためにコトバを並べ立てる方が痛々しいです。
逆に、ときどき若手に頼ることも大切です。頼られると人は頼りやすくなりますよね。弱みを見せた方が、人は安心して近づけます。
未だに昭和の課長みたいな態度の管理職をたまに見かけますが、傍でみていて痛々しく思います。それでは人は寄ってこないでしょう。
「勉強」というインプットばかりでは・・・
テレワーク中心の働き方になると、これからの若い人ってどうやって成長するんだろう?と思ってしまうことがあります。
確かに、ITツールの活用方法やプログラム言語などはリモートワークの方が学べると思います。教材も安くていいものが増えていますので、以前よりもはるかに効率的に学習できるでしょう。パワポでの資料作りなどもテレワークで十分でしょう。
ただし、なんとなく不安が残ります。それを一言で表現すると・・・
「稼ぐ」というアウトプットなしに「勉強」というインプットばかりを続けるとどうなるか?
どうなるんでしょう?想像しただけでゾッとします!
ビジネスである以上は利害関係があるのは当然です。その中で上手くコミュニケーションを取っていかなければなりません。そのスキルは場数を踏まないと上達しません。
ときにはエスカレーションして上司を巻き込む必要もあります。それに応えるのが上司の役割なのですから遠慮なんて無用です。上司も昔ほど偉そうにしてないので、どんどん巻き込んでしまえばいいんです。
契約や支払い条件など面倒だけど、重要なことは多々あります。販売においても購買においても。
こういう泥臭い部分を経験することなく、ひたすら勉強し続ける若手が増えてる気がします。
人事は資格取得を煽る風潮があります。確かに仕事は以前よりも複雑化しており、知識がないとビジネスの場で活躍できない面もあります。でも、資格取得のために勉強したことはしばらく使わないとすぐに忘却の彼方に飛んでいきます。体験が伴っていないので、あっという間に忘れてしまう。
人材育成という観点で資格取得は人事にとってわかりやすい成果という側面も忘れてはいけませんね。資格取得者が増えれば、人事として人材を育成したってことになりますからね(表面的に)。「資格ホルダーってほんとに使えねぇー!」って後輩から後指をさされる数年後の(もう若手でない)自分を想像してみてはいかがでしょうか?(人事についての記事はこちら。)
「稼ぐ」方が「勉強」よりも学べます!
ビジネスの場で「稼ぐ」という行為は体験そのものなので、定着が圧倒的に早いです。しかも、一度体験すると忘れたくても忘れられないでしょう(苦い思い出とともに)。
「稼ぐ」ことで、一つの仕事に付帯する仕事の多さを身を持って知るでしょう。売って終わりではありません。回収も、支払いも、デリバリーも、保守も、(ときには)返品も、構築も、納品も、検品も、配線も、電力供給も・・・(業種によってさまざまなので、これぐらいにしておきます)
受注書だけ、パワポのプレゼン資料だけ、スクリプトだけで飯を食っていけたらいいのですが、付帯サービスも含めたシステムとしてビジネスが成り立つわけで。しかも、一つ一つのシステムが密接に絡み合ってどんどん複雑になってるわけで。
顧客だけでなく、協力会社(仕入れ先やベンダーなど)との関係性も重要になってきます。人と人という側面、ビジネスとしての側面、その両方がケースバイケースで表になったり裏になったりします。いい人すぎるとボランティア化し、わるい人すぎると信用を失います。絶妙なバランス感覚をもって、ビジネスとして「稼ぐ」わけです。
「稼ぐ」ことは大変です。「マネタイズ」などのカッコいい横文字コトバでは表現できないほど泥臭いことが多々あります。
「稼ぐ」は「勉強」よりも勉強になると思いませんか?
「稼ぐ」と「勉強」の橋渡しをお手伝い
(記事執筆時点の)今にあった若手の育成方法は・・・
「稼ぐ」と「勉強」の橋渡しを手伝ってあげる
です(たぶん)。
もう少し厳密に言えば、「勉強」してから稼ぐのではなくて、稼ぎながら「勉強」するのですが・・・、それを言い出すと若い人からも煙たがられるでしょう。
若手をビジネスの現場に連れ出して、自分でやらして、困ってたら手伝ってあげる!ぐらいで十分だと思います。先輩面して偉そうなことを言う必要なんてないです。そういう小言は、よほど指導が必要な場合のみでいいかと。
技術的な要素をもった仕事をやらせながら、出来たら褒める。そして、徐々にビジネス寄の仕事も手伝ってもらう。「勉強」は勉強として否定することなく応援する。その「勉強」が活かせそうな仕事は率先して振る。そのような橋渡しがいいのではないかと。
今はテレワークが中心で業種によっては、失敗する機会すら与えてもらえない若手が多いでしょう。言われた資料を機械のように作り、空いている時間で資格取得のためにお勉強をしている若手も結構いるでしょう(テレワークに関する記事はこちら)。
もはや仕事よりも、資格取得のお勉強の方が大切と思っている若手もいるでしょう。給料をなぜもらえているのか?頭ではわかっているものの、心ではわかってない人もいるでしょう。それでもイライラしてはいけません。
「稼ぐ」ビジネスの現場に連れ出すと、若手は勝手にイキイキし始めます。アラフィフ世代の私たちが当たり前に享受していた環境をただ単に提供してあげればいいんです。今の若い人たちは仕事で失敗できる機会すら与えられていないのです。そう思うと接し方が変わってきませんか?
丸くなるのに時間がかかった七味おやじでした。