職業・職種をいろいろ経験してきた七味おやじです。
厚生労働省の「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書によれば、「キャリア」は以下のようにとらえられています。
「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。
「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書 平成14年7月31日 厚生労働省職業能力開発局
時間的持続性ないし継続性がポイントになってくると思ってます。まったく関係のないキャリア経験が意外な形で連鎖することがあります。その理由を考えてみました。
職種の根底にある能力が近しい
業種に求められる基礎能力が共通している場合があります。例えば、営業とコンサルはどちらも高いコミュニケーション能力が求められます。相手の求めることをキャッチし、それに対して適切な回答を返す、あるいは無理難題をうまくかわすという能力がともに必要となってきます。このようなコミュニケーションスキルは座学だけで身につくものではありません。現場で顧客と接する日々を繰り返すうちにコニュニケーションスキルが高まります。
若かりし頃に訓練された能力が別の職種で活きてくることはよくあります。ジョブローテーションで複数のキャリアを経験した方がいいか、専門職で一つのキャリアを追求した方がいいか、よく議論されますがどちらにも長所・短所はあるように思います。
時間的持続性や継続性が思わぬ形で生まれてくることを認識しておけば、無駄なキャリアというものはないと思えます。はじめに配属された部署が希望部署でなくとも、そこで培った(訓練した)能力は意外な形で次のキャリアで発揮されます。頭でっかちにならず、若いうちは色々やってみるのもいい経験だと思います。
顧客の業務を疑似的に経験してる
情報システム部門でITツールの運用経験があれば、それらに類似したサービスを顧客に提供する場合に活きてくるでしょう。購入するか販売するか、運用・保守するか提案・導入するかの違いとも言えます。コインの表裏の関係に似ています。このように記載すると購入する方が得に聞こえるかもしれません。しかし、購入の際には社内で稟議をかけたり、費用対効果を求められたりと苦しい側面もあります。ITの知識が豊富な方々ばかりではないので、社内で無理難題を言われることもあるでしょう。
顧客の立場を理解した上で、ITソリューションを提案すると顧客に響く発言ができたりします。かゆいところに手が届く提案もできるので、顧客からの信頼も得やすいでしょう。横文字の専門用語を並べ立てる営業やコンサルよりもはるかに優秀になれるかもしれません。
これも時間的持続性や継続性が、時を経て生まれてくるパターンです。どちらの立場が自分にとって心地よく、向いているかでキャリアを考えてみるものよいかもしれませんね。
体験は体が覚えてる
子供のころにスイミングスクールに通っていれば、大人になってもそれなりに泳げるでしょう。体が覚えているからです。これと似たよなことが職業でも起きます。若い頃に苦労した経験は歳を取っても覚えているので、隣接する領域でその経験を活かせたりします。日本料理の板前さんが中華料理のコックさんになっても通用するように。
例えば、一つのプログラミング言語を習得した人は、他のプログラミング言語を習得するのが早かったりします。英語を話せる人は、他の言語も習得が早いかもしれません。学び方であったり、習得のコツみたいなものを体験して体が覚えてるからでしょう。
経理をやっていた人は歳を重ねても数字に強かったり、法務をやっていた人は歳を重ねても契約書に抵抗がなかったり、商品開発をやっていた人は歳を重ねても発想がクリエイティブだったり。若い頃に体験したことは、歳を重ねてもどこかでそれが顔を出します。左脳というよりも右脳で反応できてる感じでしょうか。ふとした瞬間に時間的持続性や継続性が生まれてくるからおもしろいです。
まとめ
職業だけでなく趣味などでも同じことが言えるかもしれません。子供の頃に経験・体験したことが大人になってからも案外できてしまう。おもしろいおやじに限って、外見から想像できないおもしろい体験をしていたりします。無駄なキャリア経験などなく、点と点はいつかつながると思ってる七味おやじでした。